あるじゃーのん日和

発達障害のこと書こうとおもってたんだけど、なんだか迷走してる

樫舎のぜんざい。妖精たちを想う。

月子さん(11歳上の友達)と樫舎(かしや)のぜんざいを食べに行くって約束したのは、冬休み前。
1ヶ月越しに念願かなって、ものすごく嬉しい。



樫屋というのは、ならまちの和菓子屋さんだ。店舗は町家を改装した建物。わりと新しいお店なんだけど、何百年もやってそうな雰囲気。



暖簾をくぐるとき、神域に入るときのような一種の緊張感がある。町家カフェの「ほっこり」「親戚の家みたい」「レトロモダン」とは一線を画している(それも好きだけど)。丁寧だけど媚びていない接客の効果だろうか?



靴を脱いで預かり札をもらい、勾配のきつい階段を登って、2階の部屋へ案内してもらう。
吹き抜けのすぐそばの席で、1階が見おろせる。



サービスで冷茶とおしぼりを出してくれる。
ぜんざいを注文。
和菓子+抹茶とかもセレクトできる。
冷茶の染み渡るうまさ!茶碗は赤膚焼!!



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(赤膚焼。樫舎のものとは違います)


私は、工芸品とか大大大好きだが、絶っっ対ちゃんと扱えないので100均とかの食器を使っている。
こういうところで良い物に触れられるのが凄く幸せだ。


そうこうしてると、お客さんが入ってきた。


美しい女性である。
真っ白なドレスを着て、臙脂(えんじ)色の帽子に、白い百合の生花を指している。
緑青(ろくしょう=銅の錆び)色の爪と、唇。


カメラや照明器具を持った人が入ってきて、何かの取材だということがわかった。


年代物のカラメル色に艶めく階段に腰掛ける。
さっきまでは「変な格好した女の子」だったのに、ポーズをとったとたん、妖精かなにか、人外のものにみえてくる。


プロやなー。


「…僕らは土に依存して生きなければならないんです…」
店の主が、記者に向かって話す声が聞こえる。


「菓子なんて、神様に備えるときは1番末席です。海の幸、山の幸、塩、米、酒、それから菓子です。いちばん人の手が加わっているから、低いところにあるんです。菓子なんて、所詮果物の代用品です。手を加えれば加えるほどダメになる。餡なら小豆に、純粋な甘みだけをつける。だから小豆そのものが美味しくなければだめなんです。僕らは畑に依存してるんです…」


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ぜんざい。
水だけで茹でたあと、氷砂糖シロップを染みこませるそうな。素材の味を活かすには和三盆とか使っちゃダメなんだって。

器は奈良漆器。木目と朱色の美しさ。
スプーンは桜の木かな?


柔らかいのに潰れていない小豆。
ひと粒ひと粒、命の味。


自覚のあるなしに関わらず、私達はみんな大地に依存して生きている。


ここはそれを思い出させてくれる場所だ。


家族のために台所に立つときこの場所を思い出そう。


「…時給いくらの仕事じゃなくて、生きることと働くことが直結している妖精のような職人さんが奈良にはたくさんいます。この店で使っている赤膚焼もそう、漆器もそう…」


主の熱い語りは終わらない。


あのモデルさんもきっと妖精だ。


小皿の絵に注目
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おんぶバッタ!
可愛い!!!

久しぶりに月子さんといっぱい話ができたのも嬉しかった。
とてもいい日だ。