恋する文化人類学者

「インセスト禁忌（近親婚のタブー）は、母、姉妹、娘との結婚を禁ずる規則であるより、母、姉妹、娘を他者に与えることを義務付ける規則、典型的な贈与規則である」

目からウロコ！

「あれ（中2でイージー・ライダーを見て）以来、私は地縁や血縁を離れ、自由になりたいと願ってきた。田舎を出て東京の大学にはいる。そして日本を出て海外に。学生時代のインド旅行も、その願望のあらわれだった。そしてその貧乏旅行が縁となり、パリでアフリカ人ミュージシャンと知りあい、それがきっかけで文化人類学者になり、コート・ジヴォワールでフィールドワークをおこなった。そこで偶然にもグリオの娘と出会い、結婚し、そして気がついたら彼女の大家族とのつきあいに神経をすり減らす自分がいる。これはいったい、どうしたことか。自由をめざして日本を離れたつもりが、逆にもっとおおきな血縁関係の網の目でがんじがらめにされてしまうとは。
こんな私でも、いつかイージー・ライダーのように、バイクに乗って旅立つ日がくるのだろうか。
ブッダのように家を捨てて修行する日がくるのだろうか。
あるいは地縁と血縁にまみれながら、自由の境地に、達する日がくるのであろうか。」

色んな意味で面白い本です。